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「75歳になると保険料が跳ね上がる」――そんな話を耳にして、不安を感じている方は少なくありません。実際、年金収入が年400万円を超える単身世帯では、後期高齢者医療制度への切り替えで保険料が月2万円以上増えるケースもあります。しかし、所得や世帯構成によって負担は大きく変わり、逆に保険料が下がる人もいるのです。
この記事では、後期高齢者医療制度の保険料計算の仕組みと、現役並み所得の判定基準を具体的な金額で示し、74歳までの保険料と比較した試算例をご紹介します。75歳到達前にできる負担軽減策も含め、実際の準備に役立つ情報をお届けします。
この記事のポイント
- 75歳で後期高齢者医療制度に移行、保険料は所得割+均等割で決まる
- 現役並み所得(住民税課税所得145万円以上)なら自己負担3割、保険料も高額に
- 年金400万円超の単身世帯で月2万円超の負担増、夫婦世帯では減る場合も
- 75歳前の所得調整・扶養タイミング見直しで負担を抑える選択肢あり
後期高齢者医療制度、保険料の仕組みはどうなっている?
75歳の誕生日を迎えると、それまで加入していた国民健康保険や健康保険組合から自動的に後期高齢者医療制度へ切り替わります。この制度では、保険料は都道府県ごとの広域連合が運営し、全員が個人単位で加入します。夫婦で同じ保険に入っていた場合も、75歳以降はそれぞれ別々に保険料を支払うことになります。
保険料は所得割(前年の所得に応じた部分)と均等割(全員一律の基本額)の2つで構成されます。たとえば東京都の2024年度の場合、所得割率は9.49%、均等割額は年48,970円です。年金収入が200万円(基礎控除後の所得80万円)の単身者なら、所得割は80万円×9.49%=約7.6万円、これに均等割を足して年間約12.6万円(月約1万円)となります。
保険料は原則として年金からの天引き(特別徴収)で納めますが、年金額が年18万円未満の場合や、介護保険料と合わせた額が年金の半分を超える場合は、納付書や口座振替での支払い(普通徴収)になります。この仕組みは介護保険料と同じですが、医療保険としては初めて年金天引きになる人も多いため、実際の手取り年金額が減って驚くケースがあります。
現役並み所得の判定基準、年収いくらから該当する?
保険料の計算式が分かったところで、次に重要なのが「現役並み所得」の判定です。後期高齢者医療制度では、所得に応じて医療費の自己負担割合が1割・2割・3割に分かれます。住民税課税所得が145万円以上だと「現役並み所得」とみなされ、自己負担は3割になります。
住民税課税所得とは、年金収入や給与収入から公的年金等控除・給与所得控除を引き、さらに基礎控除などの所得控除を差し引いた後の金額です。具体的には、単身で年金収入のみの場合、年収が約383万円を超えると課税所得145万円のラインに達します。夫婦2人世帯(両方とも後期高齢者)なら、2人合わせた年収が約520万円を超えると現役並み所得に該当する可能性があります。
ただし、145万円以上でも世帯の年収が一定額以下なら負担軽減の対象になります。単身世帯で年収383万円未満、夫婦世帯で合計520万円未満なら、課税所得が145万円以上でも申請により自己負担2割に下がる場合があります。この判定は複雑なため、自治体から送られてくる通知書をよく確認するか、広域連合の窓口に問い合わせることをおすすめします。
74歳までと比べて保険料はどれくらい変わる?年収別試算
| 年収 | 74歳まで(国保) | 75歳以降(後期) | 月額差 |
|---|---|---|---|
| 200万円(単身) | 約9.8万円 | 約12.6万円 | +1,800円 |
| 300万円(単身) | 約23.5万円 | 約28.4万円 | +4,000円 |
| 420万円(単身) | 約48万円 | 約74万円 | +2.2万円 |
現役並み所得の基準が分かったところで、実際に保険料がどう変わるか、74歳までの国民健康保険と比較してみましょう。ここでは東京都在住を想定し、3つのケースで試算します。
ケース1:年金200万円の単身世帯
74歳までの国民健康保険料は年間約9.8万円(月約8,200円)。後期高齢者医療制度では年間約12.6万円(月約1万円)となり、月1,800円程度の負担増です。所得が低いため均等割の軽減が適用され、影響は比較的小さく抑えられます。
ケース2:年金300万円の単身世帯
74歳までの国保は年間約23.5万円(月約2万円)。後期高齢者では年間約28.4万円(月約2.4万円)となり、月4,000円程度の増加です。所得割の負担が増えますが、国保の資産割(一部自治体)がなくなる分、差は縮まります。
ケース3:年金420万円の単身世帯(現役並み所得)
74歳までの国保は年間約48万円(月4万円)。後期高齢者では年間約74万円(月約6.2万円)となり、月2.2万円の大幅増です。課税所得が145万円を超えると所得割率が高く適用され、さらに自己負担も3割になるため、医療費を含めた総負担は一気に重くなります。
一方、夫婦世帯の場合は話が変わります。74歳まで国保では夫婦で1つの保険料でしたが、後期高齢者ではそれぞれ個別に保険料がかかります。ただし、妻の年金収入が79万円以下(基礎控除内)なら所得割はゼロで均等割のみとなり、夫婦合計の保険料が74歳までより下がるケースも珍しくありません。
75歳到達前にできる負担軽減策、所得調整と扶養の見直し
74歳までとの保険料比較で負担増が見えたところで、75歳を迎える前にできる対策を考えてみましょう。後期高齢者医療制度の保険料は前年の所得で決まるため、74歳になる年の所得を調整することで、75歳到達時の保険料を抑えられる可能性があります。
たとえば、不動産収入や株式の譲渡益がある場合、74歳の年に大きな利益を確定させると翌年(75歳)の保険料が跳ね上がります。逆に、74歳までに医療費控除や寄付金控除を活用して課税所得を圧縮しておけば、75歳時点の保険料負担を軽くできます。
また、配偶者の扶養に入っている場合は、扶養から外れるタイミングも重要です。74歳まで会社員の子どもの健康保険の扶養に入っていた親は、75歳で自動的に後期高齢者医療制度に移行し、初めて保険料負担が発生します。この場合、所得が低ければ均等割の軽減(最大7割)が適用されるため、年間の保険料は2万円以下で済むこともあります。ただし、扶養から外れた時点で子どもの扶養手当がなくなる場合があるため、家族全体で影響を確認しておくとよいでしょう。
さらに、医療費控除の申告も忘れずに行いましょう。後期高齢者になると通院頻度が増え、医療費が年10万円を超えるケースも出てきます。確定申告で医療費控除を受ければ、住民税課税所得が下がり、翌年の保険料軽減につながります。領収書やお薬手帳は普段から整理しておくことをおすすめします。
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75歳での後期高齢者医療制度への移行は、保険料や自己負担に大きな影響を与えます。ここまで見てきたポイントを振り返ってみましょう。
- 後期高齢者医療制度の保険料は所得割+均等割で計算され、年金天引きが原則
- 住民税課税所得145万円以上(年金収入約383万円超)で現役並み所得、自己負担3割に
- 年金420万円の単身世帯では74歳までより月2.2万円の保険料増、夫婦世帯では減る場合も
- 74歳時の所得調整・医療費控除の活用で75歳以降の負担を軽減できる
75歳到達が近づいてきたら、ねんきん定期便や源泉徴収票で自分の所得を確認し、必要に応じて自治体の窓口や税理士に相談してみるのも一つの方法です。制度を正しく理解し、事前の準備を進めることで、不安を減らし、安心して新しい医療制度を迎えられるでしょう。
※本記事は2024年度の制度に基づいた一般的な情報提供を目的としています。保険料率や軽減措置は都道府県・年度により異なるため、詳細はお住まいの後期高齢者医療広域連合にご確認ください。個別の判断は専門家への相談をおすすめします。
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