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「うちの会社、企業型DCあるけどiDeCoも入れるの?」人事から届いた案内を見て、多くの会社員が抱く疑問です。2022年の制度改正で併用のハードルは下がりましたが、自分の場合に掛金をいくらまで積めるのか、そもそも併用すべきかの判断は、給与明細を見ても分かりにくいのが実情です。
この記事では、企業型DCとiDeCoを併用できる条件の確認方法から、マッチング拠出との使い分け、30年間で200万円以上差がつく配分の考え方、さらに受取時の税負担を減らす出口戦略まで、具体的な数値例とともに解説します。
この記事のポイント
- 2022年10月以降、企業型DC加入者の多くがiDeCoを併用可能に
- 掛金上限は「5.5万円−事業主掛金額」で決まる
- マッチング拠出とiDeCoは選択制、転職可能性で判断が変わる
- 受取時期をずらすことで退職所得控除を2回使える
自分は併用できる?給与明細で確認する3ステップ
まず確認すべきは、あなたの勤務先の企業型DCがiDeCo併用を認めているかどうかです。2022年10月の制度改正で、企業型DCの規約にiDeCo加入を認める規定がなくても原則として併用できるようになりました。ただし例外として、企業型DCにマッチング拠出(従業員が上乗せで拠出できる制度)がある場合は、マッチング拠出とiDeCoのどちらか一方しか選べません。
次に重要なのが掛金上限額の確認です。給与明細や年末調整の書類を手元に用意してください。「企業型DC掛金」「確定拠出年金(事業主拠出)」といった項目で、会社があなたのために毎月積み立てている金額が記載されています。たとえば月1万円なら、iDeCoの上限は月2万円(5.5万円−会社拠出1万円−企業型DC手数料等0.5万円相当)となります。事業主掛金が月3万円なら、iDeCoは月2万円まで、といった具合です。
3つ目のステップは、確定給付企業年金(DB)など他の企業年金制度の有無です。DBがある場合、企業型DCとiDeCoを合わせた上限は月2.75万円に下がります。就業規則や福利厚生のしおりで「企業年金基金」「確定給付制度」の記載があれば、人事部門に確認しましょう。この3ステップで、あなたが併用できるか、上限がいくらかが明確になります。
マッチング拠出とiDeCo、どちらを選ぶべきか
| 比較項目 | マッチング拠出 | iDeCo |
|---|---|---|
| 転職時の継続 | 終了(移換手続き必要) | そのまま継続可能 |
| 運用商品 | 会社選定の商品のみ | 金融機関の全商品から選択 |
| 口座管理手数料 | 企業型DCに含まれる | 月171円〜(別途) |
| 年末調整 | 会社で自動処理 | 自分で控除申告が必要 |
給与明細を確認して併用可能と分かっても、もう一つ判断が必要です。勤務先にマッチング拠出制度がある場合、「会社の企業型DCに自分のお金も上乗せする(マッチング拠出)」か「別にiDeCo口座を開く」かの二者択一になります。どちらも所得控除が受けられる点は同じですが、決定的な違いが3つあります。
1つ目は転職時のポータビリティです。iDeCoは転職先に企業型DCがなくても継続できますが、マッチング拠出は転職と同時に終了し、資産は企業型DCごと転職先に移換するか、iDeCoに移す手続きが必要になります。20〜30代で転職の可能性がある人は、最初からiDeCoにしておくほうが手続きの手間が少なくなります。
2つ目は運用商品の選択肢です。企業型DCの運用商品は会社が選定した10〜30本程度に限られますが、iDeCoは金融機関ごとに独自の商品ラインナップがあり、信託報酬の低い投資信託を自分で選べます。たとえば企業型DCに信託報酬0.1%未満のインデックスファンドがなければ、iDeCoで低コスト商品を選ぶほうが30年間で数十万円の差になります。
3つ目は手数料と管理の手間です。マッチング拠出なら企業型DCの口座一つで完結しますが、iDeCoは別途口座管理手数料(月171円〜)がかかり、年末調整ではなく自分で小規模企業共済等掛金控除の手続きをする必要があります。転職予定がなく、企業型DCの商品ラインナップに満足しているなら、マッチング拠出のほうがシンプルです。
併用する場合の掛金配分、30年後210万円差がつく考え方
上記の表で比較したマッチング拠出とiDeCoの選択が終わったら、次は具体的な掛金配分です。ここでは企業型DCとiDeCoを併用するケースで考えます。たとえば事業主掛金が月2万円、あなたがiDeCoに追加で月2万円拠出できる場合、合計月4万円の積立になります。
配分で重要なのは、企業型DCとiDeCoで運用商品を分ける戦略です。たとえば企業型DCでは会社が用意した元本確保型(定期預金)やバランス型ファンドを選び、iDeCoでは信託報酬0.1%未満の全世界株式インデックスファンドを選ぶ、といった組み合わせです。企業型DCの事業主掛金2万円は会社が出してくれるお金なので、リスクを抑えた運用にし、自分で拠出するiDeCo2万円は積極的に増やしにいく、という考え方もあります。
30年間でどれくらい差がつくか試算してみましょう。企業型DC2万円を年利1%(元本確保型)、iDeCo2万円を年利5%(株式インデックス)で運用した場合、30年後の評価額は企業型DC約836万円、iDeCo約1,664万円、合計2,500万円です。一方、両方とも年利1%なら合計約1,672万円、両方とも年利5%なら合計約3,328万円になります。リスク許容度に応じて中間を取る配分(たとえばiDeCoの一部を債券ファンドにする)も現実的です。
もう一つ見落としがちなのが、昇給や賞与に応じた掛金の見直しです。iDeCoは年1回、掛金額を変更できます(金融機関によっては年2回以上も可)。手取りが増えたタイミングで月1万円から2万円に増額するだけで、最終的な資産額は大きく変わります。毎年4月の昇給時期に、企業型DCとiDeCoの掛金配分を見直す習慣をつけましょう。
受取時の税負担を減らす出口戦略、60歳以降の順序が鍵
企業型DCとiDeCoを併用すると、将来受け取るときに一つ有利な選択肢が生まれます。それが受取時期をずらすことで退職所得控除を2回使う方法です。通常、企業型DCは60歳で受給権が発生し、iDeCoも60歳以降(加入期間により異なる)に受け取れます。この2つを同じ年に一時金で受け取ると、合算した金額に対して退職所得控除が1回しか適用されません。
ところが、一方を60歳で、もう一方を65歳や70歳に繰り下げて受け取ると、受取の間隔が15年以上空いていれば、それぞれに退職所得控除を適用できます(2022年改正で19年から15年に短縮)。たとえば勤続30年で企業型DCを60歳で受け取り(退職所得控除1,500万円)、iDeCoを75歳で受け取る(加入期間20年として退職所得控除800万円)場合、合計2,300万円まで控除が使えます。同じ年に受け取ると控除は1,500万円までなので、税負担が数十万円単位で変わります。
ただし繰り下げ受取にはデメリットもあります。iDeCoは75歳まで口座管理手数料がかかり続けるため、少額の残高を長期間置いておくと手数料負けします。また、受取を遅らせている間に亡くなった場合、相続人が受け取ることになり、相続税の課税対象になります(みなし相続財産として500万円×法定相続人数まで非課税)。このため、企業型DCを60歳で一時金受取、iDeCoは運用を続けながら70歳前後で一時金受取、という中間的な戦略を取る人が多いのが実態です。
もう一つの選択肢が年金受取です。一時金ではなく分割で受け取れば、公的年金等控除が使えます。ただし年金受取にすると、他の年金収入(国民年金・厚生年金)と合算されるため、65歳以降で年金収入が多い人は控除枠を使い切ってしまい、かえって税負担が増えるケースもあります。自分の年金見込額をねんきんネットで確認し、一時金と年金受取を組み合わせるか、税理士に相談するのが確実です。いずれにしても、企業型DCとiDeCoを併用している人は、60歳より前に受取戦略を決めておくことが、税負担を数十万円単位で減らす鍵になります。
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企業型DCとiDeCoの併用について、要点を振り返ります。
- 2022年10月以降、多くの会社員が併用可能になったが、マッチング拠出との選択が必要
- 給与明細の事業主掛金額を確認し、「5.5万円−事業主掛金」で自分の上限を計算する
- 転職可能性があればiDeCo、運用商品の選択肢と手数料のバランスで判断する
- 企業型DCとiDeCoで運用商品を分け、年1回掛金を見直すことで30年後に数百万円の差
- 受取時期を15年以上ずらせば退職所得控除を2回使え、税負担を大幅に減らせる
併用のルールは複雑に見えますが、一度自分のケースを整理すれば、節税と資産形成の両面で大きなメリットがあります。まずは給与明細で事業主掛金額を確認し、人事部門やiDeCoの金融機関に相談してみるのも一つの方法です。
なお、この記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の税務判断や投資判断は専門家にご相談ください。確定拠出年金の運用はご自身の判断と責任で行ってください。
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