投資信託の基準価額の見方、初心者向け解説|高い・低いで判断してはいけない理由

投資信託

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投資信託を買おうとして証券会社のサイトを開くと、「基準価額15,327円」「前日比+124円」といった数字が並んでいます。この数字が高いファンドと低いファンド、どちらが「お得」なのか、迷ったことはありませんか?

実は基準価額の高い・低いだけでは、そのファンドが割安か割高かは判断できません。この記事では、基準価額とは何か、どう計算されているのか、そして購入や売却の判断でどう活用すればいいのかを、初心者向けに具体例とともに解説します。

この記事のポイント

  • 基準価額は1万口あたりの時価で、ファンド設定時は通常10,000円からスタート
  • 基準価額が高い=割高ではなく、運用成績や分配金の有無で変わる
  • 購入タイミングより積立継続と長期保有が重要
  • 基準価額だけでなくトータルリターンと純資産総額の推移も確認する

基準価額とは何か|1万口あたりの時価という仕組み

基準価額とは何か|1万口あたりの時価という仕組み

基準価額とは、投資信託1万口あたりの時価を示す数字です。たとえば基準価額が12,000円なら、1万口を買うのに12,000円かかります。

なぜ「1万口あたり」なのでしょうか。投資信託は、多くの投資家から集めたお金をまとめて運用する商品です。ファンドの純資産総額(運用している資産の合計)を、発行済み口数で割ることで、1口あたりの価値が計算されます。それを1万倍したものが基準価額です。

具体例を見てみましょう。あるファンドの純資産総額が100億円、発行済み口数が80億口だとします。1口あたりの価値は100億円÷80億口=12.5円。これを1万倍すると12,500円が基準価額になります。多くのファンドは設定時に基準価額を10,000円に設定し、運用成績に応じて日々変動していきます。

分配金が基準価額に及ぼす影響: 分配金を出すファンドでは、分配金の分だけ基準価額が下がります。たとえば基準価額15,000円のファンドが1万口あたり500円の分配金を出すと、分配後の基準価額は14,500円になります。分配金受取型と再投資型で長期的に基準価額に差が出るのはこのためです。再投資型なら分配金が自動的に再投資されるため、複利効果で基準価額の上昇に寄与します。一方、受取型は分配のたびに基準価額が下がるため、見かけ上の基準価額は再投資型より低くなります。

基準価額15,000円と10,000円、どちらが割安?

基準価額15,000円と10,000円、どちらが割安?

基準価額の仕組みが分かったところで、冒頭の疑問に戻りましょう。基準価額15,000円のファンドAと、10,000円のファンドB、どちらが割安でしょうか?

答えは「基準価額だけでは判断できない」です。ファンドAは設定来50%値上がりしているかもしれませんが、ファンドBは設定されたばかりで10,000円のままかもしれません。あるいはファンドBは過去に大きく分配金を出していて、基準価額が下がっているだけかもしれません。

実例を挙げます。2024年12月時点で「eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)」の基準価額は約28,000円、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は約24,000円です。一方、2024年に設定された「SBI・iシェアーズ・米国バランス(2資産均等型)」は基準価額10,500円程度です。基準価額の絶対値は、そのファンドが割安か割高かを示すものではなく、あくまで設定来の値動きと分配金の履歴の結果なのです。

株式投資なら「1株1,000円の株と5,000円の株、どちらが割安か」は企業価値(PERやPBR)で判断できますが、投資信託の基準価額にそうした割安・割高の概念はありません。

購入時・保有中・売却時、それぞれの基準価額の見方

購入時・保有中・売却時、それぞれの基準価額の見方

基準価額の絶対値が意味を持たないなら、投資家はどう活用すればいいのでしょうか。購入時・保有中・売却検討時の3つの場面に分けて考えます。

購入時: 積立投資なら基準価額を気にする必要はほとんどありません。毎月定額で買い続けることで、基準価額が高いときは少なく、安いときは多く買う「ドルコスト平均法」が自動的に働きます。一括購入する場合、「今日が高いか安いか」を基準価額だけで判断するのは困難です。それよりファンドの投資先(インデックスかアクティブか、国内株か米国株か)、信託報酬、そして過去3~5年のトータルリターンを重視しましょう。新NISA枠では、つみたて投資枠は積立専用なのでタイミングは不要、成長投資枠で一括購入する場合も、市場全体の割高感(たとえばS&P500のPERが過去平均を大きく上回っていないか)を見るほうが有効です。

保有中: 基準価額の日々の上下に一喜一憂する必要はありません。ただし、自分の購入時の基準価額と現在の基準価額を比べることで、含み益・含み損の大まかな把握はできます。たとえば12,000円で買ったファンドが15,000円になっていれば約25%のプラスです。証券会社のサイトでは「評価損益」として自動計算されているので、そちらを見るほうが正確です。

売却検討時: 老後資金など使う時期が決まっている場合、基準価額が目標額に達したら部分売却を検討する、という使い方はできます。ただし基準価額だけでなく、その時点の市況(株式市場全体が過熱していないか)も合わせて判断すべきです。

ETFの場合の注意点: 上場投資信託(ETF)では、基準価額(=1口あたりの純資産価値、NAVとも呼ぶ)と市場での取引価格に「乖離率」が生じることがあります。乖離率がプラスなら割高、マイナスなら割安に取引されている状態です。証券会社サイトのETF詳細ページで確認できます。

基準価額以外にチェックすべき指標|トータルリターンと純資産総額

指標 見るべきポイント 確認できる場所
基準価額 自分の購入時との比較 証券会社サイトのトップ
トータルリターン 1年・3年の実績 ファンド詳細ページ
純資産総額 増加傾向か30億円以上か ファンド詳細ページ
信託報酬 年0.2%以下が目安 目論見書・詳細ページ

投資信託を選ぶ際、基準価額だけでなく他の指標も見ることで、より正確な判断ができます。特に重要なのが「トータルリターン」と「純資産総額の推移」です。

トータルリターン: 分配金を再投資したと仮定した場合の、一定期間の運用成績です。証券会社のサイトでは「1年」「3年」「5年」などの期間別に表示されています。基準価額が下がっていても分配金を多く出していればトータルリターンはプラスになることもあります。

具体例で見ましょう。あるファンドの基準価額が1年前12,000円→現在11,400円(-5%)だとします。一見マイナスですが、この1年で1万口あたり1,800円の分配金を出していた場合、トータルリターンは(11,400+1,800-12,000)/12,000=+10%になります。ファンドの実力を見るなら、基準価額の変動率よりトータルリターンを見ましょう

純資産総額の推移: ファンドに集まっているお金の総額です。純資産が増え続けているファンドは、新規資金が流入している=投資家に支持されている証拠です。逆に純資産が減り続けていると、解約が続いている可能性があり、最悪の場合「繰上償還」(ファンドが強制終了)のリスクもあります。純資産総額が30億円を下回ると繰上償還の可能性が高まると言われています。

証券会社サイトでの確認方法: SBI証券なら、ファンド検索後「ファンド詳細」タブをクリック→「チャート」タブで基準価額とトータルリターンのグラフ、「基本情報」タブで純資産総額の推移が確認できます。楽天証券なら「ファンド情報」ページの「リターン・リスク」セクションにトータルリターンが表示され、「ファンド概要」に純資産総額が記載されています。購入前に必ずこれらをチェックする習慣をつけましょう。

関連記事

基準価額は投資信託を理解する上で基本的な指標ですが、その数字だけで良し悪しを判断することはできません。重要なポイントをまとめます。

  • 基準価額は1万口あたりの時価で、設定来の運用成績を反映した数字
  • 基準価額が高い=割高、低い=割安ではなく、設定時期や分配金の有無で変わる
  • 購入時は基準価額より投資先と信託報酬、保有中はトータルリターンと純資産総額を重視
  • 積立投資ならタイミングを気にせず継続することが長期的には有利

投資信託選びで迷ったら、インデックスファンドとアクティブファンド、どちらを選ぶべきか|手数料・実績・判断基準を実例で比較も参考にしてみてください。まずは少額から始めて、基準価額の動きを実際に体感してみるのも一つの方法です。

※投資信託の購入は元本割れのリスクがあります。最終的な判断は自己責任でお願いします。

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