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配当利回り5%の株を100万円分買えば、年間5万円の配当金が手に入る──そんな魅力的な数字に惹かれて高配当株投資を始める人は少なくありません。ところが実際には、配当金を受け取った翌月に株価が20%下落して、結果的に大きな損失を抱えてしまうケースも珍しくないのです。
この記事では、高配当株投資に潜むデメリットとリスクを3つの視点から整理し、配当利回りだけで銘柄を選ぶ危険性について具体的に解説します。
この記事のポイント
- 高配当株には減配や無配転落のリスクがあり、配当金が突然減る可能性がある
- 配当利回りが高い銘柄は株価が下落傾向にあることが多く、元本割れリスクが大きい
- 配当所得には税金がかかるため、実質的な利回りは見た目より低くなる
- 配当金を再投資しない場合、複利効果が得られず資産の成長速度が鈍る
減配・無配転落のリスク、配当金は約束されていない
高配当株投資で最も見落とされがちなのが、配当金は企業の業績次第でいつでも減額・停止されるという事実です。株式の配当は債券の利息とは異なり、法的な支払い義務がありません。業績が悪化すれば、企業は配当を減らしたり、まったく支払わなかったりすることができるのです。
実際、2020年のコロナ禍では多くの企業が無配や減配に踏み切りました。たとえば、それまで安定配当を続けていた航空会社や小売業の一部は、業績悪化を理由に配当を停止。配当金目当てで保有していた投資家は、収入源を一気に失う結果となりました。
さらに注意が必要なのは、高配当利回りの背景が「株価の下落」である場合です。配当金額が同じでも、株価が下がれば利回りは上昇します。つまり、利回り6%の高配当株が、実は業績不振で株価が落ち続けている銘柄だった、というケースも少なくありません。配当利回りだけを見て飛びつくと、株価下落と減配のダブルパンチを受けるリスクがあるのです。
安定した配当を受け取り続けるためには、配当性向(利益のうち配当に回す割合)や過去の配当実績、企業の財務状況を総合的に判断する必要があります。配当金は「もらえて当たり前」ではなく、企業が稼ぎ続けてこそ維持されるものだと理解しておきましょう。
株価下落リスク、配当以上に元本が減る可能性
減配リスクに加えて、高配当株投資には株価下落による元本割れリスクも大きく潜んでいます。年間5%の配当金を受け取っても、株価が10%下落すれば、トータルではマイナス5%のリターンになってしまうのです。
高配当株の多くは、成熟した業界や成長が鈍化した企業の株です。こうした企業は安定的に利益を出している一方で、事業の拡大余地が限られているため、株価の上昇も期待しにくい傾向があります。配当金を出すことで株主還元を行っているものの、株価そのものは横ばいか緩やかな下落を続けるケースも珍しくありません。
たとえば、ある通信大手の株を配当利回り5%で100万円分購入したとします。1年後に5万円の配当金を受け取れますが、もし株価が15%下がっていれば、保有株の評価額は85万円に目減りしています。配当金5万円を加えても、資産全体では90万円。10万円の損失が発生している計算です。
さらに、高配当株は景気後退局面で大きく売られやすい特徴もあります。景気が悪化すると、投資家はリスク回避のために株式を売却し、より安全な資産へ資金を移します。このとき、成長期待の薄い高配当株は真っ先に売られる対象となり、株価が急落することがあるのです。
配当利回りの高さに魅力を感じるのは自然なことですが、株価の値動きも含めたトータルリターンで投資判断をすることが欠かせません。配当金だけに目を奪われて元本が大きく目減りしては、本末転倒と言えるでしょう。
税負担と再投資効率の低さ、複利効果を逃すデメリット
| 項目 | 高配当株(配当受取) | 投資信託(再投資型) |
|---|---|---|
| 利回り(税引前) | 5% | 5% |
| 税負担 | 約20% | 売却時まで非課税 |
| 実質利回り | 約4% | 約5%(複利効果込) |
| 10年後の資産(概算) | 約148万円 | 約163万円 |
株価下落のリスクに加えて、高配当株投資には税負担による実質利回りの低下というデメリットもあります。日本では配当所得に対して約20%の税金が源泉徴収されるため、利回り5%の配当も手取りでは4%程度に目減りしてしまうのです。
さらに、配当金を受け取るたびに税金が引かれることで、複利効果が十分に働かないという問題もあります。投資信託の分配金なしコース(再投資型)であれば、分配金が自動的に再投資され、雪だるま式に資産が増えていきます。一方、高配当株で配当金を現金で受け取ると、その都度課税されるため、再投資に回せる金額が減ってしまうのです。
たとえば、100万円を年利5%で運用した場合、税引き後の配当金4万円を再投資せずに使ってしまうと、翌年も元本100万円のままです。対して、分配金を再投資する投資信託なら、翌年は104万円が運用されることになり、時間が経つほど差が開いていきます。10年後には、再投資の有無で数十万円の差が生まれることも珍しくありません。
また、新NISAとiDeCo、どちらを優先すべきか|賢い使い分けの判断基準でも触れたように、新NISA口座内での配当金は非課税になるため、税負担を抑える工夫も重要です。ただし、NISA枠には年間上限があるため、すべての高配当株をNISA口座で保有できるわけではありません。
配当金を生活費として使うのか、再投資して資産を増やすのか。自分の投資目的を明確にしたうえで、税負担と複利効果のバランスを考えることが大切です。配当金を受け取る喜びは大きいですが、その裏で失われている複利の力も意識しておきましょう。
高配当株投資に向いている人・向いていない人
これまで見てきたデメリットを踏まえると、高配当株投資が誰にでも向いているわけではないことが分かります。では、どんな人に適しているのでしょうか。
高配当株投資が向いているのは、すでにある程度の資産を築いており、配当金を生活費の一部として使いたい人です。たとえば、退職後に年金だけでは足りない生活費を補いたい場合、毎月安定した配当金が入ることで精神的な安心感を得られます。また、株価の多少の変動には動じず、長期保有を前提に配当金を受け取り続ける忍耐力がある人にも適しています。
一方、高配当株投資が向いていないのは、資産形成の初期段階にある人や、短期間で資産を大きく増やしたい人です。複利効果を最大限に活かすには、配当金を受け取るより再投資型の投資信託で資産を雪だるま式に増やす方が効率的です。また、株価の下落に耐えられず、含み損が出るとすぐに売ってしまう傾向がある人も、高配当株投資では成功しにくいでしょう。
さらに、銘柄選びに自信がない初心者にとっては、個別株の高配当株投資はハードルが高いかもしれません。減配リスクや財務状況の分析には、ある程度の知識と経験が必要です。そうした場合は、高配当株ETF(上場投資信託)や高配当株ファンドを活用することで、分散投資しながら配当収入を得る方法も検討できます。
自分の投資目的・資産状況・リスク許容度に照らし合わせて、高配当株投資が本当に自分に合っているかを冷静に見極めることが、失敗を避ける第一歩と言えるでしょう。
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高配当株投資の主なデメリットとリスクをまとめると、以下の通りです。
- 配当金は企業の業績次第で減額・停止されるリスクがあり、安定収入とは限らない
- 高配当利回りの裏に株価下落が潜んでいることが多く、元本割れのリスクが大きい
- 配当所得には約20%の税金がかかり、複利効果も得にくいため資産成長が鈍りやすい
- 自分の投資目的や資産状況に合わせて、高配当株投資が本当に適しているか見極めることが重要
配当金という「目に見える収入」は魅力的ですが、その裏に潜むリスクを理解したうえで投資判断をすることが大切です。まずは少額から始めて、自分のリスク許容度を確かめながら投資スタイルを確立していくのも一つの方法でしょう。
なお、本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の銘柄の推奨や投資助言を行うものではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。
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